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産後に必要な栄養素とは?
妊娠している時は、お腹の赤ちゃんの事を考え食事などに気を遣っていても、産後は自分の事だけで良くなったと思っていませんか。
母乳はお母さんの血液から作られます。また、母乳をあげていない人でも、赤ちゃんの世話をするのはお母さんです。お母さんが元気でなければ、赤ちゃんにも影響が出てくるのです。
産後は、授乳などで睡眠不足になりがちです。疲れが取れない中、赤ちゃんの世話や家事などをしていませんか。頑張り過ぎると、体にも心にも、また赤ちゃんにも良くありません。
産後のお母さんが不足しがちな栄養素がありますので、積極的に摂るようにしてみましょう。
また栄養素だけではなく、1日の摂取カロリーも、成人女性より350kcalは多く摂る必要があります。
産後ダイエットは最低でも出産3ヵ月以降にしよう
摂取カロリーが増えることからも分かるように、お母さんの体は出産という一大イベントから回復するために、多くのエネルギーを必要とします。
そんな時にダイエットをしてしまうと、体が思うように回復できず、疲れやすさや肌荒れ、貧血などが起きる原因になってしまいます。
しかし出産3ヵ月を過ぎると、ホルモンバランスも落ち着きお母さんの体は、赤ちゃんを保護するために脂肪を蓄える体から元の状態に変わります。
赤ちゃんの行動範囲も増え、抱っこしたりあやしたりするお母さんの消費カロリーもぐっと増えるため、体調が整いやすくなる時期です。
妊娠中に赤ちゃんを守るために増える脂肪は1~2kg前後ですが、この時期に自然と元の体重に戻る人も沢山います。
しかし全ての人がこの時期に体重が落とせるとは限らず、数年かかって戻る人や半年以上かかる人も多いため、無理にダイエットをする必要はありません。
この時に大切にしたいのは、栄養バランスです。お母さんは育児に追われ、さらに赤ちゃんへ栄養をあげることも求められるため、心身のバランスが崩れやすくなっています。
ダイエットを無理に進めると、体の回復が遅くなるだけでなく、風邪など感染症にかかりやすくなったり、母乳のみで育てている場合は赤ちゃんへ十分に栄養が行き届かない恐れもあります。
不足しやすい栄養素を紹介するので、注意して摂ってみましょう。
ヘモグロビンを作る、鉄分
血液の中のヘモグロビンという、体に酸素を送る大事な物質を作っているのが鉄分です。血液は、分娩時の出血や悪露などで不足気味になっています。また授乳中のお母さんは特に不足する栄養素です。
小松菜やほうれん草、ブロッコリー、ひじき、レバー、あさり、いわしなどに多く含まれています。
推奨される1日摂取量は、月経のない授乳中は8.5mg~9mg、授乳していない場合は10.5mg~11mgです。
レモンやカイワレ大根などに多いビタミンCは、野菜からの鉄分吸収に必要です。また魚類、肉類、乳製品、大豆製品などに多いたんぱく質を一緒に摂る事で、腸から鉄を吸収しやすくします。
ただ、お茶に多いタンニンや、コーヒーなどのカフェインと一緒に摂ると、吸収を妨げてしまうので注意しましょう。
授乳中には減りやすい、カルシウム
カルシウムも母乳に含まれます。授乳中はカルシウムがどんどん減ってしまうので不足を補いましょう。また、イライラなどを鎮める働きもあるので、ミルクをあげている方にもおすすめです。
乳製品、ひじき、大豆製品、干しエビ、小松菜などに多く含まれています。推奨されている1日摂取量は成人女性で650mgとなっており、産後はそれ以上に必要になります。
カルシウムを摂る時にビタミンDを一緒に摂ると、腸からの吸収が良くなります。ビタミンDはあじやさんま、しめじ、干しシイタケなどに多い栄養素です。
チーズをあじやサンマなど魚類と一緒に焼いてみたり、干しシイタケや干しエビを料理の出汁にして豆腐と合わせたりするのも良いでしょう。
妊娠中だけでなく産後も必要!葉酸
妊娠中だけでなく、産後も必要です。新陳代謝を良くし子宮の回復を早めたり、赤血球を作るのに重要な栄養素で貧血防止にもなります。
肉類(特に鶏)レバー、モロヘイヤ、枝豆などに多く含まれています。
推奨される1日摂取量は、授乳中は340μg、授乳していない場合は240μgです。
子宮の回復を早める、亜鉛
細胞の分裂を促すので子宮の回復を早め、精神の安定にも効果があり産後のイライラなどを抑えてくれます。
また、産後の薄毛にも効果があるとされています。肉類の赤身、牡蠣、大豆製品などに多く含まれています。
推奨される1日摂取量は、授乳中で2mg、授乳していない場合は9mgです。
亜鉛サプリメントのおすすめ5選!その効果とは?ホルモンバランスの乱れに、イソフラボン
イソフラボンは、エストロゲンに似た働きをする為、摂る事でホルモンのバランスが整います。
大豆製品などに多く含まれていますが、1日の摂取量は、大豆イソフラボンアグリコンとして、30mgまでとなっています。
大豆イソフラボンアグリコンとは、イソフラボンが腸から吸収される時の形です。
大豆イソフラボンアグリコンは、イソフラボンとして摂った成分量×0.625で計算します。過剰に摂らないよう注意しましょう。
産後にホルモンバランスが崩れる理由って何?
妊娠中は、女性ホルモンのエストロゲンが多く分泌されていますが、産後急に減少します。
実は妊娠前に戻っただけなのですが、それまでたくさん分泌されていたために体が「急に分泌量が減ってしまった!」と勘違いしてしまいます。
しばらくすると勘違いの状態が治りますが、それまで体は「もっとたくさんエストロゲンを分泌してください!」と体の各所に働きかけます。
同時に赤ちゃんに母乳を与えるために、授乳ホルモンであるプロラクチンが増え始めます。
人間の体はホルモンバランスを自然と整える能力を持っていますが、産後はホルモンの増減が非常に激しいためにストレスを心身ともに受けやすくなります。
例えるなら、生理前のイライラがより強烈な状態でやってくる状態です。
イライラや憂鬱といった気持ちの変化や、薄毛、急に痩せる、反対に太ってしまう、疲労感が抜けきらない、肌荒れ、貧血などが起こりやすくなります。
そんな状況で赤ちゃんの世話や、時には家事までこなさなくてはならないため、疲れ切ってしてしまうのは不思議なことではありません。
1~2ヵ月は産後の回復期として、まずは体を休ませることを優先しましょう。下記に対処法を、状況別に解説します。
イライラや憂鬱感など気持ちの変化への対処法
授乳がスタートした直後は、自分のリズムで眠ることもできず、夜中に何度も起きるような日々が続きます。
睡眠不足は、憂鬱感やイライラのもとです。出産直後のお母さんたちは、誰でも「産後うつ」と呼ばれる病気になる可能性を持っています。
しかしホルモンバランスだけを整えれば良いとは限らず、眠れない状況や言葉が通じない赤ちゃんとの交流、不安感などお母さんを取り巻く状況が整わないことこそ大きな原因でもあります。
完璧を追い求めない
まず、とにかく完璧に全てをこなそうとは思わないようにしましょう。赤ちゃんは1人1人全く違い、もちろんお母さんも1人1人違います。
育児書などの専門書が当てはまらないことも多く、状況に応じては全く役に立たないこともしばしばあります。
その子が元気で過ごせており、お母さんにとって無理のない状況であることを大切にしましょう。
誰かに状況を伝えよう
他の誰かと話をすることはとても大切です。不安であること、どうしたらよいか困ってしまっていることを、誰かへ発信しましょう。
人間は思っている以上に思い込みで動いているところが多く、たとえそれが旦那さんなど近くにいる人間であっても、気持ちや悩みが全く伝わっていないことがあります。
旦那さんはもちろん、ママ友や友人など、一緒に言葉を交わして共感してくれる人に話すことが大切です。
出産前に自治体や市町村の相談先や、自分の家族への相談方法などを把握しておくと、困った時に頼れます。
思い込みを変えられないことに気づいたら
もしも「母親失格な自分がこのままこの子の世話をしていいわけがない」と思う日が2週間近く続いているようであれば、産後うつになっている可能性があります。
治療すればうつ病は状態を軽くでき、少しずつ回復できる病気ですが、反対に何もしないまま放置していると再発と重症化を繰り返してしまいます。
心だけでなく体が思うように動かなくなる、自殺を考えてしまうなど、心身ともに症状が現れます。
早めに自治体など公的機関や病院、信頼できる人に相談しましょう。
疲れやすい時の対処法
出産後、以前より疲れやすくなる人は珍しくありません。
対処法としては、寝不足を解消するために時間を見つけてこまめに寝ること、栄養補助食品を活用することが挙げられます。
上記のようにホルモンバランスの変化や環境の変化のほかにも、出産で傷ついた体の回復にエネルギーが使い切られてしまい、体を動かすためのエネルギーが不足していることが挙げられます。
そのためエネルギー源となるカロリーや栄養素をきちんと補えれば、少しずつ疲労が回復しやすい状態になります。
しかしこの時、エネルギーが不足していると、反対にお母さんの体がどんどん「痩せる」ことがあります。
産後痩せとも言われ、ストレスが増えているのも大きな原因で、さらに栄養失調によって疲れやすくなっている可能性があります。
また産後に甲状腺ホルモンの異常を引き起こし、その結果、痩せやすくなったり、疲れやすさや動機の激しさ、めまいが起きている場合もあります。
3食食べているのに痩せてしまう、ダイエットをしていないのに痩せている場合には、病院で一度相談することも大切です。
他にもある疲労の原因
また女性ホルモンは血管を広くする働きがあり、なおかつ授乳による睡眠不足などで血圧の調整も難しくなっているため、低血圧を起こしていることもあります。
他にも赤ちゃんを守るために脂肪をため込んだりと、体の大きな変化によって代謝が低下し、必要なエネルギーや酸素が各所に届かなくなっているのも原因です。
産後1~2ヵ月は疲労困憊した状態になることも多いため、出産前から休める環境づくりをしておくことがとても大切です。
疲れ切ってしまう前に、食べやすい物や栄養補助食品を用意しておくと、料理ができない状況でもひとまずの栄養を補給できます。
薄毛になってしまうときの対処法
産後の薄毛の対処法は、薄毛を目立ちにくくして、髪が再び生えはじめるのを待つというものです。
薄毛の原因に、ホルモンバランスの変化が大きく関わっているためです。
女性ホルモンであるエストロゲンは、髪をふさふさと若々しく保ち、ツヤをアップさせる働きを持っています。
妊娠中はエストロゲンの分泌量がどんどん増えるため、髪が抜けにくい状態になっています。
ところが出産後になり急激にエストロゲンなど女性ホルモンが減少すると、毛髪が休止期という状態になり、それまで抜けにくくなっていた髪が一斉に抜けてしまうことがあります。
休止期中の髪は成長しないため、一時的に薄毛になります。2~3ヵ月くらい経過すると終わるのですが、それまでの間は髪の毛はなかなか生えてきません。
薄毛は髪を短く切ると目立ちにくくなります。また同時に、抜け毛を増やさないように無理のない範囲で適度に睡眠をとり、育児中のストレスをできるだけ発散しましょう。
貧血の対処法
妊娠中、お母さんの体は赤ちゃんに栄養や酸素を送るために、血液量がぐっと増えています。
しかし出産時に出血量が多い場合、もともと貧血だった場合は、産後に血液量が減るとともに貧血が起こります。ホルモンバランスの変化や栄養不足が重なると、より起きやすくなります。
妊娠前に貧血が分かっている場合は、主治医の指示を受けつつ貧血治療を続けましょう。
肌荒れの対処法
スキンケアの時間自体が摂れない場合は、オールインワンタイプの化粧品を使うと無理なく継続できます。
またこの時、出産前とは違い、ホルモンバランスの変化から肌が敏感になっていることも多いため、肌に優しいタイプのものを使うようにしましょう。
特に保湿不足になることが多く、また赤ちゃんへの授乳で水分も減りやすいことから、普段の生活で水分補給をこまめにすることも大切です。
サプリポートは産後にサプリメントを利用した方にアンケートを実施しました!
サプリポートでは611人にサプリメントに関するアンケートを実施しました。特に利用者の多い産後サプリメントに関しては、摂取したことによってどんな実感を得たのかなど詳しくうかがいましたので、その回答の一部をご紹介します。
アンケートの詳細をご覧になりたい方は以下の記事をご覧ください。
妊娠中におすすめのサプリメント2選!葉酸以外に摂るべき栄養素はある?【口コミ】産後にサプリメントを利用した方はどんな実感を得ている?
葉酸などは成分の性質上、飲んでいるお母さん自身が大きな変化を感じることは少ないようですが、鉄分サプリメントの摂取による貧血解消など産後の体調に変化を感じた方は多くいらっしゃいました。
・ふらつきやムズムズがなくなった
・貧血気味だったのがマシになった
産後に飲むサプリメントの選び方や注意点を解説!
産後に必要な栄養素はたくさんありますが不足しがちです。赤ちゃんの世話などで忙しく、疲れがたまっている時などは、バランスの良い食事を作る事も難しいかもしれません。
栄養素が不足していても摂る事が難しいと感じたら、手軽に必要量摂れるサプリメントの利用をおすすめします。しかし、どんなサプリメントでも良い訳ではありません。
口コミだけで判断せず、サプリメントに含まれる栄養素の配合などを確認して、自分に必要だと判断出来るものを選びましょう。
アメリカ産のサプリメントはおすすめ?
アメリカ産のサプリメントを選ぶのは、産後の体調が崩れたタイミングではなく、妊娠中のできるだけ体調が落ち着いている時期にしましょう。
理由として「栄養素が多すぎる場合がある」「成分の安全性などを十分に確かめられないことがある」ためです。
サプリメントは食品です。信頼できる大手メーカーの商品や、製法や作られている工場などが確認できる会社が安心です。
輸入製品もありますが、日本語の説明書などなく、配合が日本人に合った規格ではない場合や、添加物などが心配な場合もあります。
また必要な栄養素でも、配合が多い方が良いとは限りません。授乳中は自分だけではなく赤ちゃんの健康をも左右する為、不足するものだけが摂れ過剰摂取にならないように注意が必要です。
葉酸の過剰摂取は、かゆみ、じんましん、呼吸障害などが起きる場合があり、亜鉛の過剰摂取は、腹痛や下痢、めまいなど急性の亜鉛中毒になる場合があります。
こうした心配を取り除くには、産後の体調が悪い時期だと判断が難しくなってしまいがちです。できるだけ体調が落ち着いた時期に選び、不安が1つでもあれば使わないことも大切です。
ここでは、産後向けに開発されているアメリカ産のサプリメントを2つ紹介します。
まずは、海外サプリメントを豊富に扱うiHerbでのお得な購入方法を解説します。
妊婦向けに1947年から発売、Solgar プレナタール・ニュートリエンツ
栄養面について、妊娠前から出産後の授乳期まで、幅広くカバーしているサプリメントです。
錠剤のサイズが大きく1cm以上あるため、つわりが酷いときや体調が辛いときは飲みにくいこともあるようです。
・貧血にならず栄養補助として助かりました
・つわり中は全く飲めなかったです
・栄養が摂れなかった日に活用しています
授乳中向け、Fairhaven Health 産後授乳中 マルチビタミン
授乳中に重要な、ビタミンD3やB6、B12、ナイアシン、葉酸などが多く配合されているサプリメントです。
人工着色料や人工防腐剤は含まれておらず、近年サプリメントで補うことが疑問視されているカルシウムは40mgと非常に少なく、普段の食生活で補えるようになっています。
・授乳後の疲れやすさが改善された
・臭いがやや独特だが、慣れるとスッと飲める
・母乳の出が割と良くなった気がする
産後におすすめのサプリメント3選!
産後におすすめのサプリメントを3つ紹介します。
小林製薬 葉酸 鉄 カルシウム
産後に必要な栄養素である、鉄分、カルシウム、葉酸がバランスよく配合されています。大手の製薬会社のもので、医薬品と同レベルの管理の元作られているので安心です。
1日目安3粒で、葉酸は1日の推奨量340μg(産後)を補える480μg、鉄分13.5mg、カルシウム90mgを摂る事が出来ます。
・粒が小さくて変な臭いもない
・まとめて補えるので三食毎に1個ずつ飲んでいる
・成分表記がはっきりしていて分かりやすい
ピジョン 母乳パワープラスタブレット
母乳となっていますが、授乳をしていない方にも必要な葉酸、カルシウム、鉄が配合されており、おすすめ出来るサプリメントになっています。ベビー用品の大手であるピジョンの商品なので、安心して飲めます。
1日の目安は2粒で、タブレットになっている為水なしでも飲め、お菓子感覚で必要栄養素が摂れる手軽さもおすすめ出来るポイントです。
・貧血ぎみなので産後から続けて飲んでいます
・錠剤タイプで手軽に飲める
・たちくらみが落ち着いた
大塚製薬 ネイチャーメイド カルシウム・マグネシウム・亜鉛
骨を作るカルシウムとマグネシウムがバランスの良い2:1で、またカルシウムの吸収に必要なビタミンDも配合されています。さらに、産後の抜け毛などの悩みに効果的な亜鉛も含まれています。
骨を丈夫にする他イライラも解消してくれるカルシウムに、抜け毛対策の亜鉛と産後の悩みに効果的です。
1日の目安は3粒で、カルシウムは約500mg、マグネシウムは250mg、亜鉛は7mg摂る事が出来ます。
・1粒2cmくらいあるのでちょっと飲むのは大変
・牛乳が飲めないのでカルシウム不足対策に飲んでいる
・実感はないけど必要な栄養を摂れて便利