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サプリメントが吐き気の原因になる?空腹時は要注意?
サプリメントを飲む人の中には「副作用がないから安心」と考えている人も多いのではないでしょうか。
確かに日本ではサプリメントは食品に分類されているものの、実は行政側の指定する定義はなく、一般的に「特定成分が濃縮された錠剤やカプセル形態の製品」とされています。
特定成分がぎゅっと濃縮されていることから、食品でも食べ過ぎれば胃腸障害が出るように、過剰摂取や摂取タイミングによっては吐き気の原因となります。
特に空腹時に飲むと、サプリメントという小さなものしかないのに、食べ物を消化しようと胃酸がたくさん出てくるため、胃の中が荒れてしまい吐き気が起きやすい状態になります。
また成分によっては吸収率が悪く、サプリメントのように成分が凝縮されたものを摂ると、体が自分を守るために吐き気を起こし、外へ出そうとしていることもあります。
基本的にはサプリメントは、1日当たりの成分量をチェックし、多すぎる量を摂っていないか調べましょう。
また食後30分内に飲み、飲み忘れたとしても、空腹時に慌てて飲まないようにしましょう。
吐き気の原因になる成分とは?
「なら、吐き気が起こらない成分だけ飲めばいいんじゃない?」と考える人もいるかもしれません。
吐き気が起こりやすい成分があるのではなく、サプリメントの多くは「誤った飲み方をすると大抵吐き気の原因」となります。
しかし中には「様々なサプリメントに含まれている」「もともと吸収率が悪い」などの理由から、注意していても過剰摂取になりやすい成分があります。
腸での吸収率が悪い、亜鉛
亜鉛は男女ともに人気の高い成分で、不足すると成長障害や免疫力の低下などを引き起こすほか、精力アップに効果的などの理由から、高齢者にも人気が高い栄養素です。
しかし腸での吸収率は低く、粘膜が吸収を受け付けなくなると嘔吐や下痢を引き起こし、体が外へ排出しようとします。
また長期的な過剰摂取は腎機能低下を招くこともあり、注意が必要です。
急激な過剰摂取に注意、鉄分
鉄は食事から摂ろうとすると吸収率が極端に低いため、毎日摂り続けていても不足しがちで、貧血を起こす人も多くいます。そのためサプリメントや鉄剤で補うことは、とても重要です。
しかし鉄は耐容上限量が女性で40mg、男性は50mgと設定されています。
鉄不足を一度に解消しようとして、これ以上の量を一気にとると成分を吸収しきれず、吐き気や下痢が起きることがあります。また胃腸が悪い人は、少量の鉄分摂取でも吐き気を催すことがあります。
鉄分は毎日少しずつしか蓄積できないため、適切な量を摂り続けることが大切です。
摂るほど良いとは限らない、イソフラボン
美容目的や更年期障害の対応に飲む人が多いイソフラボンですが、食品安全委員会によると安全な大豆イソフラボンの1日当たりの上限摂取目安量は1日当たり75mgです。
また特定保健用食品(一部サプリメントを含む)においては、普段の食事にプラスして摂る上限量は1日当たり30mgとされます。
これはイソフラボンが女性ホルモン(エストロゲン)に似た働きをすることから、過剰摂取によりホルモンバランスが崩れ、吐き気など副作用が生じる恐れがあるためです。
適切に補うことで吐き気が解消される可能性もありますが、日本人の食卓にはたとえば豆腐やみそ、納豆など大豆食品が豊富にあります。
それぞれの100gあたりの大豆イソフラボン含有量は、豆腐は20.3mg、納豆は73.5mg、醤油に0.9mg、豆乳は24.8mg、おからに10.5mg、みそには49.7mgなど豊富です。
イソフラボンサプリメントを飲み、体に良いからと大豆イソフラボンを豊富に含む食事を続けていると、知らないうちに過剰摂取を起こす可能性があります。
1日の上限量を超えないように、妊娠中の葉酸
葉酸は胎児の神経障害の予防を助けてくれることから、葉酸サプリメントを妊娠中に積極的に摂っている人も多いかもしれません。
葉酸サプリメントの多くは、吸収率が高いモノグルタミン酸型葉酸が使用されています。モノグルタミン酸型葉酸は1日当たり1,000μgと摂取量が決められています。
妊娠中にサプリメントで補うよう推奨されている量は400μgですが「たくさん摂った方が良い!」と勘違いして、飲み過ぎてしまうと吐き気が起こる可能性があります。
複数のサプリメントを使用している人は、気が付かないうちに過剰摂取になることがあります。
また妊娠初期はつわりが起こり、吐き気や嘔吐が起きやすい時期です。
サプリメントを飲み込むと、胃が反応してしまい、吐き気が起きる場合があります。これは葉酸が悪いのではなく「固形物を飲み込む」という行為そのものが原因となっています。
飲み込む行為がきついときは、グミタイプやチュアブルなど、舐めたり噛んだりして食べられる葉酸サプリメントを選ぶこともおすすめです。
体に蓄積されるリスクがある、脂溶性ビタミン
ビタミンと一口に言っても、脂溶性と水溶性の2つに分かれます。
ビタミンA
過剰摂取に特に注意したいビタミンが、ビタミンAです。サプリメントだけでなく、レバーのようなビタミンAを豊富に含む動物性食品を多く摂った時にも吐き気や頭痛が起こります。
これはビタミンAを急にたくさん摂った場合の症状で、他にも1ヵ月以上過剰摂取を続けると他にも物が二重に見えたり、手足にむくみが出たりすることがあります。
ビタミンD
耐容上限量である100μgを超え、毎日大量に摂取し続けると、高カルシウム血症を起こす恐れがあります。
高カルシウム血症は、血管の壁の他、腎臓や心臓の筋肉、肺など様々な臓器にカルシウムがどんどん付着していく疾患です。
この症状として、吐き気や嘔吐があります。他にも腎機能障害や食欲不振、興奮しやすくなるなどの症状があります。
タイミングに注意したい、水溶性ビタミン
水溶性ビタミンに含まれるのは、ビタミンCとビタミンB群です。
基本的には過剰摂取になりにくく、たくさん摂ったとしても尿とともに流れ出て、体内に蓄えられることがないため、基準値以内の摂取量なら副作用を心配しすぎる必要はありません。
しかしビタミンCは空腹時に飲むと胃を痛めやすく、結果として吐き気を起こすことがあります。
またビタミンB群に耐容上限量はありませんが、パントテン酸を大量に摂取した場合は吐き気を起こすことがあります。
毎日、過剰な量を摂らないようにすることが大切です。
サプリメントで吐き気を催した時の対処法を解説!
サプリメントを飲んですぐに吐き気が起きたときは、そのまま吐いてしまう、もしくは吐き気止めを使いましょう。
そして吐き気を起こしたサプリメントを、続けて使わず、飲むのを中止しましょう。
安静にして水分補給を忘れずに、また消化の良いものを少しとると胃が落ち着きやすくなります。
ここで注意したいのは、妊娠中など吐き気が起きやすい時でもないのに、吐き気が続くような状況です。
またサプリメントを飲んでからかなり時間が経過していたり、原因がサプリメントとは考えにくい状況の場合は、安易に吐き気止めを使わない方が良いこともあります。
たとえばウイルス性胃腸炎などは、吐くことで菌を外へ追いやろうとしている可能性があります。
消化器系の病気だけでなく、心筋梗塞や脳疾患、ホルモン異常も吐き気の原因となります。
特に妊娠中や内服治療中の方は、吐き気が出たら早い段階で医師に相談してください。