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1日に必要な栄養素とは?
私たちが1日の生活で必要とする栄養素は5つの種類に分けることができ、タンパク質・脂質・炭水化物・無機質(ミネラル)・ビタミンが挙げられます。
これら5つの栄養素は、年齢や活動レベル、疾患の有無、体質、体重、身長など個人差応じて1日当たりの必要栄養素が異なります。
必要栄養素の目安は、2015年に発表された厚生労働省による「日本人の食事摂取基準(2015年版)」からチェックすることができます。
5年ごとに情報が更新されているだけでなく、健康の保持・増進、生活習慣病の発症や重症化を予防することを目的とした目安量が分かる基準です。
また参考にしやすい情報として、大塚製薬のカロリーメイトのHPにある資料は18~49歳までの情報がまとめて掲載されています。
東京都福祉保健局の提供する「あなたに必要な1日の栄養量は?」という情報も、読みやすくエネルギー計算も合わせて行えるためおすすめです。
成人男女の1日当たりの栄養素の例
ここでは、上記資料を基に、成人男女(18~49歳)の1日当たりの必要な栄養素を紹介します。
炭水化物
炭水化物はまず、1日当たりに必要なエネルギー(kcal)を求めることから計算します。
エネルギーは毎日の過ごし方や運動の有無で異なるため「1日の基礎代謝×身体活動レベル」という計算式で求めます。
例として、身体活動レベルが普通の男性は1日当たり2,650kcal、女性は1,950~2,000kcalです。
このエネルギーのうち、およそ5割は炭水化物から補給するのがおすすめです。ただし摂りすぎるといけないため、多くても7割程度にしましょう。
タンパク質
タンパク質は、上記で求めたエネルギー量に対し、およそ13~20%を占める量を摂取することが目標とされています。
g数で言えば、男性は60g、女性は50gです。ただし、妊娠中の場合は中期は5g、末期は25g、授乳中は20gをプラスして摂ることが推奨されます。
脂質
脂質は、総エネルギーのうち20~30%が目安です。したがって男性なら1日当たり530~795kcal、女性は390~600kcalが目安となります。
脂質は1gあたり9kcalであることから、g数で表すと男性は約59~88g、女性は約43~67gが目安です。
ビタミン
ビタミンはビタミンA、ビタミンB1・B2・B6・B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンEに対し、摂取目安が決まっています。
中でもビタミンA、D、Eは過剰摂取による健康被害を考慮し、耐容上限摂取量が決まっているため、摂取する際に注意したいビタミンです。
ビタミンAは男女ともに2,700μgRAE、ビタミンDは100μg、ビタミンEは男性は800~900mg、女性は650~700mgです。
ミネラル(無機物)
栄養素として挙げられるミネラルは、ナトリウム、カリウム、カルシウム、鉄、マグネシウム、リンです。
耐容上限摂取量が定められているのは、カルシウムと鉄で、カルシウムは男女ともに2,500mg、鉄は男性が50~55mg、女性は40mgです。
さらに鉄分は女性の場合、妊娠中かそうでないか、月経があるかないかで、6.0~21.0mgまで推奨量に大きな幅があります。自分に必要な量を、まずは確認したい栄養素です。
一方で、耐容上限摂取量がないものもあります。
ナトリウムは食塩に換算すると、目標量として男性8g、女性は7gです。カリウムは男性は2500mg、女性は2000mgが目安となっています。
どうして人によって栄養素が違うの?
たとえば座り仕事に従事する人、また1日中立ち仕事をする人では、体を動かすために必要なカロリーも栄養素も違います。
また妊娠中の女性は赤ちゃんの分の栄養素も摂取する必要があるため、成人女性の栄養素にさらにプラスした量が設定されています。
しかし中には過剰摂取をすると、その日のうちに吐き気や頭痛などの体調不良を引き起こしたり、長年蓄積されることで病気の原因になったりする栄養素もあります。
タンパク質や脂質、炭水化物は、過剰摂取すると肥満の元となり、生活習慣病のリスクを高めます。
そのため、人それぞれ必要な栄養素をきちんとチェックすることが大切なのです。
1日に必要な栄養素を摂取するためにはサプリメントが必要?
サプリメントの必要性を左右するのは「必要な栄養素量が人によって違う」こと、そして「不足している栄養素も人によって違う」という2点です。
つまりサプリメントが絶対に必要、とは言い切れませんが、不足しがちな栄養素を補う目的で使うならサプリメントは必要と言えます。
アレルギーで食べられない食品に豊富に含まれる栄養素を、サプリメントで補うことで健康に過ごせるかもしれません。
また1日350gの野菜を実際に食べたとしても、野菜の種類によっては確実に必要な栄養素全てをカバーできるわけではないことから、野菜ジュースなどを栄養補助として使うことも必要です。
基本は食品から摂るようにし、サプリメントはあくまでも補助的な役目に留めましょう。
サプリメントの選び方、不足しがちな成分とは?
サプリメントの選び方として、次の3つは必ず押さえましょう。
- どのような栄養素が何mg(μgなど)含まれているか明確に分かる
- 商品に対する問い合わせ先が電話やメールなど複数ある
- アレルギーなど副作用に関する注意事項が記載されている
特に一番上の栄養素の量と種類が明確に分かることは、サプリメントで最も重要視したいところです。
栄養素は多すぎると、過剰摂取に繋がります。自分に適した量が補えるサプリメントなのか、きちんとチェックしましょう。
日本人に不足しがちな栄養素
ビタミンやミネラルなど18種類の栄養素などのうち、特にビタミンCや食物繊維、カルシウム、ビタミンA、ビタミンDが不足しています。
中でも食物繊維は非常に少なく、成人の目標量である1日当たり17~20gに対し、15g程度、あるいはそれ以下しか摂っていない人が多くいます。
カルシウムとビタミンDも不足しがちで、特に室内の仕事が多く日光に当たらない人は皮膚でビタミンDを産生できず量が少ないと言われています。
1日に必要な栄養素が全て摂取できるサプリメントがある?
近年話題となっているのが、カロリーも含めて必要な栄養素をすべて摂取できる、完全栄養食というものです。
結論から言うと、1日に必要な栄養素をサプリメントから摂取することは可能で、さらに言うとそれだけで人間は生きていくことが可能です。
たとえば病気などを原因に、点滴だけで生きている人がいるように、栄養素をサプリメントや液体で補うことは既に行われています。
「クシナダ」や「BESE PASTA」「COMP」など、日本人向けの完全栄養食も発売されています。
しかし問題点も多く、まず成分を取りやすくするため液状になっていることから、噛むという動作がどうしても減っていきます。
噛む動作は口の中を清潔に保ち、胃腸を動かし、脳の活性化などにもつながっています。また胃腸が動きにくくなると便秘になり、腸内環境が悪化すると免疫力が低下します。
また同じものだけを毎日食べ続けると、脳が幸福感を感じにくくなり、自律神経に異常をきたす恐れがあります。
つまり、1日に必要な栄養素を全部取れるようなサプリメントはありますが、あくまでも時間がない時の救世主として役立てるのがベストです。