癌に効くサプリメントはあるのか?国立がん研究センターの見解を解説!

癌の代替療法とは何か?

代替療法というのをご存知でしょうか。通常医療は、西洋医学と同様に考えて良いもので、代替療法は、通常医療の代わりに行われる治療です。

また保険がきく医療が通常医療で、代替療法は保険外の治療とも言え、通常医療の不十分な部分を補う補完療法と一緒に、補完代替療法と呼ばれる事もあります

現在、通常医療で行われる癌の治療は、手術、放射線治療、化学療法ですが、これ以外が代替療法となります。代替療法でよく知られているのは、漢方薬や鍼灸、健康食品やサプリメント、アーユルヴェーダ、気功などです。

漢方薬は、通常医療などでも取り入れられたり、大学病院などでも漢方外来を設けている所がありますが、まだ病気に対して本当に効果があるか実証されていない為、研究されている段階です。

しかし、アメリカでは代替療法で病気予防をする事が普通となっており、ある統計によると、アメリカの80%の患者が癌の代替療法も行っているようです。

アメリカでは日本のような健康保険制度がない為、病気になると高額な治療費が必要になります。そのため、代替療法が盛んになっているのです。

日本では、癌患者はサプリメントや健康食品を代替療法として利用している方が多いのに対し、アメリカではサプリメントや健康食品よりも、マッサージやリラクゼーションなどの利用が多くみられます。

またアメリカの現状は、多くの代替療法の効果が実証されない為、通常医療に替わるものではなく、通常医療と代替療法を合わせた統合治療が行われています。

日本は代替療法は否定的に捉えられがちですが、大阪、徳島、金沢などの大学病院で補完代替医療の外来が行われています

国立がん研究センターの見解を解説!癌に効くサプリメントはあるのか?

国立がん研究センターの見解を解説!癌に効くサプリメントはあるのか?

健康食品やサプリメントは癌だけでなく、美容や健康の為に摂っているという方も多いのではないでしょうか。健康になる、若返る、美容に良いなどのキーワードを見ると、使ってみたい気持ちが出てきます。

しかし、サプリメントの中には大手メーカーなどで、自社研究として効果を実証し、特定保健用食品の認定を受け許可されたものもありますが、効果があるという実証が得られていないものが多いのも現状です。

癌の代替療法の研究については、2002年にハーバード大学で、代替療法の有効性についての研究が行われました

この研究では、マッサージや心理療法などと共に、健康食品やサプリメントなどの有効性も研究されており、ビタミンA、ビタミンCビタミンE、大豆サプリメント、ハーブ製品、サメ軟骨などが対象でした。

以下では、癌の進行と生存に対する各成分の研究結果を見てみましょう。

ビタミンA

抗酸化作用で通常医療の治療効果を弱めてしまう為、使用を認めないとした上、逆に重大な有害作用があるとされました。

ビタミンC

抗酸化作用で通常医療の治療効果を弱めてしまう為、使用を認めないとされています。

pc-spes(ハーブ)

前立腺癌に対して作られていますが、重大な有害があり使用を認められず、現在販売は中止されています。

大豆サプリメント

乳がんに対する効果はなく、使用も反対とされましたが、前立腺癌に対しては、有効性には疑問があるが使用を容認する形です。

サメ軟骨

有効性には疑問があるが使用を容認する形です。

ビタミンE

潜在性前立腺癌以外に対する有効性は疑問があるが使用を容認、潜在性前立腺癌に対しては、化学的な根拠として有効性があり、使用を容認、または推奨するという結果になりました。

国立がん研究センターでは、容認とは実証されたと認めている訳ではなく、有効性ははっきりしませんが、患者が望めばあえて否定しないものとして考えています。

しかし、ビタミンEの効果は、化学的な根拠として有効であり、容認、または推奨である為、実証されたと捉えられるのではないでしょうか。

その後もサプリメントや健康食品の研究は続いています。2002年以降の研究で、癌に対する有効性が報告されたものは次の通りです。

アガリスク

癌の細胞を攻撃するNK細胞の活性化や抗がん剤の副作用を軽減する効果が報告されています。ただ、副作用で亡くなった方がいるとの報告もありました。

AHCC

複数のキノコによって作られた食物繊維です。肝細胞を全部摘出出来た患者さんが摂った場合、再発を少なくしたり、生存が延長出来たとされます。

また、手術が行えず緩和ケアを行っている進行性の肝癌患者では、生存期間の延長がありました。

早期前立腺癌や転移のある前立腺癌の患者では、PSA(前立腺特異抗原)が下がったとされていますが、そのような効果が報告された例は1件のみでした。

サメ軟骨

腎細胞癌の患者に1日240mlの高用量のサメ軟骨を投与で、生存期間が延長されたとされます。

メシマコブ

前立腺癌、骨転移がある肝細胞癌、肺転移のある肝細胞癌で、腫瘍が縮小または消失したとの事です。

プロバイオティクス

表在性膀胱癌手術後、抗がん剤との併用で再発を予防、大腸癌の抗癌剤治療中の下痢の軽減、膵臓癌手術後の合併症を予防、放射線治療による下痢の軽減などが報告されています。

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信用できる情報に基づいて判断しましょう

以上は人に対しての臨床試験ですが、国立がん研究センターの「がんの代替医療の科学的検証に関する研究班」としては、実証出来ているとは考えられていません。

しかし、唯一プロバイオティクスに関しては、人の臨床試験において効果が証明されつつある商品としていました。

癌の代替療法について、国立がん研究センターの見解は、代替療法で癌の進行を遅らせたり、生存率を高める、また癌に伴う症状についても治療法として推奨出来るものは一つもないという結論を出しています。

しかし、代替療法の効果はまだ研究途中であると言え、今後の研究で明らかになるサプリメントも出てくるのではないでしょうか。