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アミノ酸摂取量の理想はどれくらい?
タンパク質を構成するアミノ酸は20種類、人間はそのうち11種類を他のアミノ酸などから体内で合成できますが、他の必須アミノ酸9種類は食事から摂ることが必要です。
2007年にWHO/FAO/UNUから報告された「成人の不可欠アミノ酸(必須アミノ酸)の推定平均必要量」によると、たとえば成人の場合はヒスチジンは10mg/kg(体重)/日とあります。
これは9つの必須アミノ酸それぞれに定められていますが、他の必須アミノ酸も正しい量を摂れているという前提条件のもと求められた推定平均必要量です。
特定の場合を除き、アミノ酸摂取量ベースで考えるよりタンパク質の1日当たりの必要摂取量を正しくカバーできているか考えた方が効率的です。
もしアミノ酸サプリメントを普段の生活に摂り入れたい、と考えているのであれば、タンパク質を毎日しっかり摂れているかをまず確認しましょう。
そのうえで、運動に伴う不足分などを補う目的で、アミノ酸サプリメントは商品ごとに決められた1日あたりの量を守り、ない場合でも2~6gを上限として使うことをおすすめします。
アミノを含む食材をどれくらい摂取すべき?
1日あたりのタンパク質推奨摂取量は、成人男性であれば1日当たり60g、成人女性は1日当たり50gが目安です。
しかし毎日の食事の中で摂ることを考えると、素材のグラム数を1回ごとに考えるのはとても大変です。
タンパク質がエネルギーに占める割合は、1日当たりのカロリー数によって変わります。
この時使いやすいのが「つ(SV)」という単位です。1つ、2つと数える単位で、1つ(SV)あたり6gのタンパク質を含むという単位になります。
1,800kcalは3~4、2,000kcalの場合は3~5つ、より多いカロリー数なら4~6つを目安とします。
たとえば1つ(SV)に当たるのは目玉焼き1つ、納豆1パック、冷ややっこ1つ、肉じゃが中鉢が1つです。
餃子やシュウマイは5つで2つ(SV)に当たり、煮魚や魚のフライ、肉野菜炒めも2つに当たります。
もし卵を3つ使ったオムライスで言えば3つ(SV)、最低でも18gのタンパク質を摂ることになります。
農林水産省からは、SVの単位で食事に含まれるタンパク質量を示した早見表が出されています。普段の食事にどのくらい含まれているか、チェックしてみるのも良いでしょう。
肉や魚といった材料からみるタンパク質
自分で調理する場合は、生魚や生肉などを使う、という場合もあるでしょう。
たとえば牛もも肉は100gあたり脂身を取り除くとよおそ19.5gのタンパク質が含まれます。
鶏もも肉は皮が付いた状態で17.3g、鶏むね肉なら皮なしで22.3gです。
肉類も魚も、脂肪の量などでタンパク質やカロリー数が変動することがあります。
手軽で分かりやすいのは、やはり卵です。中くらいなら1個当たり8.6gのタンパク質が含まれます。
乳製品の場合は、牛乳はコップ1杯(200ml)あたり6.6gですから、普段タンパク質不足が気になる人は、牛乳を食事にプラスするのもおすすめです。
アミノ酸過剰摂取で副作用はある?
基本的に、アミノ酸は体のあちこちで代謝されエネルギーやホルモンの材料として消費されますが、消費しきれなくなった分は肝臓で代謝され、腎臓から尿中へ排出されます。
しかし2015年に厚生労働省が発表した日本人の食事摂取基準に照らし合わせると、タンパク質や必須アミノ酸の推奨量や目安量は定まっていますが、耐容上限量は決まっていません。
これはタンパク質の過剰摂取に伴う健康障害に対して、明確な根拠となる報告がほとんど見られていないためです。
このことから、現時点ではアミノ酸も過剰摂取に伴う副作用はないとされています。
しかしアミノ酸過剰摂取を継続した場合、肝臓での代謝量が次第に増え、肝機能や腎機能の低下が起きる可能性が高まります。
アミノ酸が正しく体外に排出されない状況が続くと、体に害を与える可能性があります。
これはアミノ酸サプリメントをたくさん飲む人の場合でも、プロテインなどタンパク質をたくさん摂る人の場合でも、十分懸念されることです。
肝機能や腎機能の低下は、人間の体における老廃物の排出に対して大きな影響を及ぼします。
たとえスポーツをする人であっても、健康的にトレーニングを続けアミノ酸を活用するためには、自分の体に必要な適切量を守ることが大切です。
アミノ酸サプリメントは妊娠中、子供が摂取しても大丈夫?
サプリメントが食品である以上は、タンパク質制限食を指導されていない子供(自分で食事ができる年齢)や妊婦が摂取する分に問題はありません。
ただし、フェニルケトン尿症などで一定のアミノ酸を制限する必要があったり、あるいは重度の腎臓疾患でタンパク質を制限する必要があったりするという人は使用してはいけません。
健康な場合も、たとえば大人と同じ量の薬を子供に処方しないように、子供に必要な栄養量は大人のそれよりも少ない、あるいは必要とする栄養素がより多い場合があります。
また妊娠中は優先して摂取したい栄養素(鉄分など)もあり、それを補うためのサプリメントもあるほどです。
アミノ酸サプリメントに含まれる成分を、上記に挙げた内容のように、年齢ごとにどれくらい必要か把握したうえで飲む分には過剰摂取になる可能性はほとんどありません。
こだわりなどで食事が偏りがちな子供やつわりが酷い時でも、甘味のあるプロテインは飲める場合もあります。
中には1杯で1食分の栄養素を補えるものもありますから、栄養素をよく把握しながら飲むことで、毎日の不足しがちな栄養を補うことができます。
反対に、きちんと3食バランスよく食べることができていれば、たとえアミノ酸サプリメントであっても使う必要はありません。
健康な状態の人であれば、アミノ酸を必要以上に摂ってもその効果に変わりないためです。
むしろ他の微量な栄養素も一緒に摂れる食品からタンパク質を適度に補給した方が、アミノ酸の過剰摂取になる心配も圧倒的に低く、おすすめです。
サプリメントにおける「自然・天然・ナチュラル」といった言葉は、安全性の証明ではありません。
もし子供に飲んでもらいたい、と考える場合は、何がどれだけ含まれているのかを把握しましょう。
子供が「スポーツのために飲みたい」と希望してきた場合は「何故その成分がスポーツに良いのか」をきちんと知った上で、乱用しないようにすることも大切です。