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そもそもアミノ酸スコアとは?
「良質なタンパク質を摂りましょう」と、耳にしたことはありませんか。良質という意味は、良い環境で育てられたかどうかという意味や、鮮度が良いという意味ではありません。
タンパク質の量と、そのタンパク質を構成する「必須アミノ酸」の量が、とても良いバランスになっているものを「良質なタンパク質」と呼びます。
このタンパク質と必須アミノ酸のバランスを点数化したものが、アミノ酸スコアです。
「そもそもアミノ酸ってなに?」「必須アミノ酸ってどういうこと?」と疑問に感じられた方は、こちらの記事を参考にしてください。
アミノ酸の効果とは?働き・役割を解説!健康に役立つ?タンパク質の量だけではだめ?アミノ酸スコアをチェックしたい理由
人間の体はタンパク質を摂り入れると、消化・分解・吸収を通してタンパク質をアミノ酸に変えます。
そして遺伝子が持つ並び順に合わせてアミノ酸を組み合わせ、体の中の様々な仕組みや筋肉を保つために、自分の体にとって必要なタンパク質を作り出します。
ところが必要なアミノ酸が足りていないと、材料がないためにタンパク質が作り出せなくなってしまいます。
特に、人間の体の中で合成できない、あるいはほとんど合成できない必須アミノ酸同士は、お互いにタンパク質をしっかり作るために、深くかかわりあっています。
そこで活躍するのが、アミノ酸スコアです。
アミノ酸スコアは「必須アミノ酸がどれだけバランスよく含まれているか」を表しているため、数値が高いほどタンパク質をしっかり合成できる食品であることが分かります。
アミノ酸スコアが高い食品、バランスが良い食品とは?
アミノ酸スコアが高い食品のほとんどは、肉類や魚介類といった「動物性タンパク質」です。
鶏肉や豚肉、牛肉、アジやカツオといった青魚、鮭、鶏卵、レバーなどは、その代表格です。牛乳もアミノ酸スコア100であり、そこから作り出されるヨーグルトやチーズも同様です。
ヨーグルトなどと同じ理由で、魚から作り出されるかまぼこやはんぺんも、アミノ酸スコア100の食品の1つです。低脂肪かつ低カロリーで、手に入りやすいため、間食にもぴったりです。
一方「植物性タンパク質」というと、大豆は畑の肉といわれる通り、アミノ酸スコア100を誇ります。
このことから、大豆から作られる豆腐や豆乳、がんもどきなども、アミノ酸スコア100です。特に納豆はアミノ酸以外にも様々な成分が含まれています。
また食品によっては、アミノ酸をプラスして、アミノ酸スコア100になっている栄養強化食品もあります。
アミノ酸スコア100だけにとらわれないことが大切!
ただしこうしたアミノ酸スコアばかりにとらわれて食事を選ぶと、肉や魚、乳製品、大豆製品がメインとなり、食事が偏ってしまうことがあります。
確かに人間にとってタンパク質は、水分とタンパク質だけでしばらく生きていけるほど、重要な栄養素です。
ところがタンパク質に偏った食事は、内臓にも負担をかけてしまいがちです。
炭水化物や脂質も、極端に減らすとエネルギー源が足りなくなってしまいます。ビタミンやミネラルなど、体を健康的に保つために必要な栄養素も欠かせません。
アミノ酸スコア100に注目することは大切ですが、なにごとも摂りすぎは禁物です。
そのため、毎日の食事に分散させて摂ったり、タンパク質自体が足りていなければ肉や魚、大豆製品、あるいはプロテインなどをプラスしていきましょう。
特に卵や納豆、牛乳、ヨーグルト、チーズなどはアミノ酸スコア100の食品ですが、普段の食事に手軽にプラスしやすいため、よりタンパク質とアミノ酸を重視して摂り入れたいときにおすすめです。
アミノ酸スコアの計算方法を解説!
アミノ酸スコアは、専用の計算式を使って算出することができます。計算式は、次の通りです。
『食品タンパク質の第一制限アミノ酸含有量(mg/gN)÷アミノ酸評点パターン当該アミノ酸含量(mg/gN)×100』
まず前半の「食品タンパク質の第一制限アミノ酸含有量」は食品に含まれているタンパク質のうち、最も不足している必須アミノ酸の量がどれくらいの割合を占めているか、という意味になります。
そして「アミノ酸評点パターン」は、WHO(世界保健機関)とFAO(国際連合食糧農業機関)が数値を定めている、基準値を示す表です。
この表の中から、一番少ない必須アミノ酸と同じ必須アミノ酸の基準値を探します。
こうしてタンパク質の中で最も不足している必須アミノ酸の量を、必須アミノ酸の基準値で割り、100をかけることで、アミノ酸スコアを算出できます。
食品によって必須アミノ酸の量やバランス、そもそも含まれているタンパク質の量が異なるので、アミノ酸スコアはもちろん食品ごとに違います。
普段よく食べる食品のアミノ酸スコアについて検索するのもおすすめです。
アミノ酸をより手軽に摂りたいときはプロテインもおすすめ
アミノ酸をはじめ、多くの栄養素は食事から摂取するのが基本です。消化吸収に合わせて栄養素をバランスよく摂取できますし、自分の体について詳しく考えるきっかけにもなります。
ですが、アミノ酸スコアを重視して食事内容を考えることが、大変に感じられるときもあるかもしれません。体調が悪いときは、肉や魚などを食べるのが辛いときもあるでしょう。
またアミノ酸が持つ効果に応じて、美容や筋肉量アップなど目的をもって摂りたい場合は、また違った問題が出てきます。
毎日の食生活を整えるだけでは難しい場合や、経済的問題や必要な量を摂取するために食べるべき食材量が、1回では食べきれないような量になってしまうことがあります。
そんな時は、プロテインやサプリメントを活用するのも1つの方法です。
プロテインの多くはアミノ酸スコア100であり、どのようなアミノ酸が含まれているか成分表で確認することができます。
サプリメントの場合は、バランスよく摂取できるもののほかに、よりこだわりたい人のために、特定のアミノ酸を直接プラスできるタイプもあるため組み合わせることでより効果を発揮できるのです。
もちろん摂りすぎは禁物ですから、摂取量を守ることが大切です。
自分の目的に合わせて、食事やサプリメントを賢く使い分けていきましょう。