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調味料(アミノ酸等)とは?
うま味を出すための調味料の原材料名に、調味料(アミノ酸等)という表記を見たことはありませんか。
調味料と書かれていると、いわゆる醤油やみりんと似たようなものの1つなのかな、と感じがちです。
しかし調味料(アミノ酸等)は「化学調味料」とイコールの存在です。
この表記方法は食品衛生法に基づいており、食品添加物として認められている調味料を分かりやすく表記するためにも「調味料」と一括表記しても良いことになっているのです。
アミノ酸と一口に言っても、L-グルタミン酸ナトリウムや動物性コラーゲン由来のグリシンなどが含まれます。
ただしアミノ酸以外に核酸や有機酸、無機塩のうち2種類以上を使用する場合は、「調味料(アミノ酸等)」とアミノ酸のほかにも何かしら使用されていることを示す必要があります。
反対に化学調味料としてアミノ酸のみが使われている場合は、調味料(アミノ酸)と一括表記することができます。
アミノ酸が添加物に使用される理由を解説!
こうした化学調味料などに、何故アミノ酸が利用されるようになったのでしょうか。
まずうま味の元の1つがグルタミン酸ナトリウムというアミノ酸であることを突き止めたのは、農学者の1人である池田菊苗氏です。
この発見を商品化したのが、のちに味の素として成長する会社でした。
やがて味の素はアミノ酸を単独で取り出し精製する方法を、アミノ酸の種類ごとに次々と開発し、その過程でアミノ酸を使用した化学調味料も世に広く知られるようになります。
アミノ酸調味料が持つ魅力と効果
アミノ酸が調味料に利用される理由は、手軽にうま味を食品につけることができ、酸味や苦みをやわらげてくれ、塩分の少ないだし汁などでも美味しく食べられるようにする効果があるためです。
確かにアミノ酸などのうま味成分は、昆布やカツオ節を使用しただし汁にたっぷり含まれていますが、お湯を沸かして昆布を入れて取り出してと、工程が非常に多く安定して生産するには不向きです。
すると、食品加工業界などを中心に、簡単にうま味をプラスできるアミノ酸を使用した調味料は添加物として広く使用されるようになりました。
また加えることで、天然素材の持つ良さをより引き出せるというメリットもあるため、総合的に食品の美味しさを底上げしてくれます。
夫婦共働きが当たり前になった現代でも、手軽に食事を美味しくできるため、様々な料理や調味料に使われています。
さらに調味料として「腐りにくい」アミノ酸調味料は、低価格のまま流通させることができ、食品としても無駄な廃棄物を出す必要がありません。
多くの人が美味しい食事を手軽に食べられるように工夫した結果が、今日のアミノ酸の添加物としての利用につながっているともいえます。
調味料アミノ酸の危険性とは?
調味料アミノ酸について、あまり使いたくない、とする人がいることも確かです。
その理由として、グルタミン酸ナトリウムを加熱すると発がん性物質を生成する、といわれていることが挙げられます。
また調味料には成分的な規格はあるものの、使用基準が明確ではないこと、一生涯摂り続けても健康に問題がないとする1日当たりの摂取許容量の基準がないことが問題視されているのです。
確かにこうした指定がないということは、消費者側からすると危険性を感じます。
安全性について広く試験も行われている
ただ、実際に食品として使用される前に、数千倍、何万倍という濃度で動物試験が行われ、安全性に関して確保された状態で提供されているのも確かです。
各国で分析されたデータや評価を見ても、危険性について報告はありません。
通常の食事で摂取する分量に限れば、基本的には無害なものであり、人間にとって危険なものではないとする評価が一般的です。
しかし、危険性を感じることが悪いわけでもありません。
食事は人間にとって自然な欲求の1つであり、食べることは楽しみでもあります。その楽しみを負担に感じたり、危険を感じながら食べ続けたりすることは精神的にはあまり良いこととは言えません。
アミノ酸など化学調味料が使用されていない、オーガニックの調味料も多数存在しますから、そうした調味料を中心に活用するのも1つの方法でしょう。
大量摂取するなら話は別
たとえば天然の食品であっても、特定の食品を大量に摂取すると人体に危険が及ぶことは十分に考えられます。
同様に、無害とされるグルタミン酸ナトリウムであっても、大量に摂取すれば何かしら影響が及ぶことが考えられます。
極端なたとえではありますが、1回に食塩200gをまとめて摂取すると、人間は死に至ります。反対に毎日7g以下という適切な量であれば、摂取すること自体は特に問題ありません。
グルタミン酸ナトリウムも、1度に大量に摂取すれば危険なことは確かです。
法的最大使用量においては、体重1kgあたり30mgとされます。体重50kgの人なら、1日当たり15gということです。
アミノ酸調味料はレトルト食品やコンビニ商品など、様々な食品に含まれるため、実際に自分は料理へ使っていなかったとしても毎日気が付かないうちに摂取していることが多い調味料の1つです。
適切な量であれば問題ありませんが、毎食外食やコンビニ弁当を食べているという人は、一度どのくらい使われているかチェックしてみるのも良いでしょう。
注意したいのは、食べたからと言ってすぐさま体に害があるものではなく、基本的には無害であることです。
時には実際に出汁をとってみたり、使うときは量を気にかけたり、上手に付き合うための工夫をすることをおすすめします。