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そもそもピロリ菌とは?
ピロリ菌は、衛生環境が大きく関わるといわれており、60歳以上の日本人の8割が感染しているといわれています。
衛生環境が今ほど整っていなかった日本で幼少期を過ごした人々は、生活の中でピロリ菌に感染したと推測されます。
このピロリ菌は、オーストラリアの学者でありのちにノーベル医学生理学賞を受賞した功績を持つマーシャルとウォレンにより1983年に発見されました。
ピロリ菌は胃の粘膜に住み着き、胃や十二指腸に悪影響を及ぼすといわれる菌です。
胃ではph1という非常に強力な胃酸が分泌されているため、ほとんどの菌は死滅してしまいます。
ではなぜ、ピロリ菌はそのような環境下でも生存することができるのでしょうか。
ピロリ菌は、自身の持つウレアーゼと呼ばれる酵素と胃酸の中の尿素からアンモニアを作ります。
アルカリ性のアンモニアは胃酸を中和させますので、バリアの役割となり、ピロリ菌は生きることができるのです。
ピロリ菌の感染が関与する疾患を総称してヘリコバクター・ピロリ感染症と呼びます。
慢性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がんなどがそれにあたります。
ピロリ菌検査の方法とは?
ピロリ菌の検査や治療などについては、胃潰瘍、十二指腸潰瘍の患者さんに限り保険適用されていましたが、2013年以降は、潰瘍がなく、症状のない慢性胃炎の患者さんにも保険適用が拡大されました。
ピロリ菌の検査には、胃粘膜を採取して調べる方法とそれ以外の方法があります。
胃粘膜採取は胃カメラを入れるため、患者さんにとっては負担が大きいですが、昔から行われている方法です。
採取した胃粘膜に対しては、三つの方法で検査します。
- 迅速ウレアーゼ試験
- 鏡検法
- 培養法
そのほか、胃カメラを使用しない方法として、次のような検査があります。
- 尿素呼気試験
- 抗体検査
- 便抗原測定
体への負担がかからないため、胃カメラに不安のある方には良いでしょう。
ピロリ菌は除去できる?副作用とは?
ピロリ菌検査の結果が陽性の場合、除菌を行うことになります。
除菌は、薬を1日2回、1週間飲む方法で行われます。
一次除菌として、胃酸の分泌を抑えるプロトンポンプ阻害剤と、アモキシシリン、クラリスロマイシンの2種類の抗生物質を服用します。
これにより、75~90%の患者さんに除菌効果が見られるといわれます。
4週間後に再検査を行い、その結果によっては、薬を一部変更し、1日2回、1週間服用します。
ピロリ菌の除菌を開始することにより、副作用がみられる可能性があります。
軟便、味覚異常などの症状が出る可能性がありますが、症状がひどくならない限りは自己判断で薬を中断せず、7日間飲み切ります。
ただし、発熱、腹痛を伴う下痢、粘膜や血液が混ざった下痢、発疹などの症状が見られた場合は速やかに服用を中断し、主治医、薬剤師に相談する必要があります。
その他、ピロリ菌除菌により、胃酸過多の症状が出る方もいます。
ピロリ菌を抑制する方法がある?
胃や十二指腸潰瘍、胃がんなどの原因となりうるピロリ菌について、完全に除菌するには除菌薬服用以外の方法は現在ありません。
しかし、ピロリ菌の活性を抑制させる効果が期待できると報告される食品についての情報があります。
カカオの遊離脂肪酸を2倍に高めたココア、抗ピロリ菌鶏卵抗体(IgY)を含む鶏卵、LG21乳酸菌を含むヨーグルト、LC1ヨーグルトなどが挙げられています。
その他、日常的に引用している緑茶やコーヒーにも、ピロリ菌を抑制させる働きがあるとされます。
アメリカで行われているピロリ菌対策を解説!
ピロリ菌に対する対策は国によって異なり、日本はピロリ菌の検査や除菌に対して、現在では症状のない慢性胃炎の方も保険適応されるようになりましたが、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の症状のある人に限定されていた時期がありました。
ピロリ菌対策という点では、非常に動きが鈍かったといわざるを得ないでしょう。
日本とアメリカを比較すると、保険適用範囲や除菌薬服用期間などに違いがあります。
保険適用範囲についてですが、アメリカではピロリ菌がいれば自覚症状無しでも保険適用されます。
日本では、胃潰瘍、十二指腸潰瘍の症状のある方に加え症状のない慢性胃炎の方にも保険適用範囲が広がりました。
除菌薬服用の期間については、アメリカでは10日間、日本では7日間服用します。
服用する薬の量は、その種類により異なりますが、一回当たり1.25~2.5倍ほどの量をアメリカでは服用するようです。
その結果、除菌率は日本70%に対しアメリカでは90%、と報告されています。
ピロリ菌対策におすすめの成分とは?乳酸菌が効果ある?
ピロリ菌は除菌することでのみ、菌を殺菌することが可能です。
その他に、ピロリ菌の活性を抑えたり菌数を減らしたり、胃の粘膜を保護したりといった日頃のケアに役立つ成分があるのです。
特に、食品から摂ることのできる乳酸菌の中に、そのような働きをするものが存在します。
除菌薬と併用することでその効果を高めるものや、胃粘膜自体を保護して胃の不快感や症状を和らげたりする効果が期待できます。
乳酸菌は毎日の食事の中で継続して摂取することが最も効果的です。
ピロリ菌対策サプリメントのおすすめ2選!
ここでは、ピロリ菌対策に有効な乳酸菌を使った食品を2種類ご紹介します。
胃で働く乳酸菌 明治乳業 明治プロビオヨーグルトLG21
まずは、明治乳業から発売されているプロビオヨーグルト、LG21に含まれる、乳酸菌LG21株です。
胃酸に対する耐性が強く、低ph下でも生息でき、胃粘膜への定着性が強い特徴を持つこの菌は、ピロリ菌の増殖を阻害することが分かっています。
ピロリ菌除菌薬と併用することで、除菌の効果を上げることも報告されています。
口コミ
・とにかく胃腸がすっきりする
・甘口で食べやすい、続けやすい
・ピロリ菌除菌後の予防として続けている
ストレス社会に飲む科学 ヤクルト BF-1
ヤクルトから発売されている飲むヨーグルトBF1に使われているB.ビフィダムY株は、ビフィズス菌の1つです。
ピロリ菌の活性を抑制する、胃粘膜障害を抑制する、胃粘膜を保護する、ピロリ菌のいる患者の胃の不定愁訴を改善する、といった効果が知られています。
その他、胃に直接障害が見られないストレス性の胃の不快感についても改善が見られ、ストレスにより上昇する唾液のコルチゾール濃度が低下することも分かっています。
口コミ
・あっさりしたミルク味で飲みやすい
・飲み始めて以来、胃痛がなくなった
・ストレス性の胃痛があったが効果を感じた
乳酸菌や食品などでは除菌は出来ないものの、日頃の食事として摂り続けることで、ピロリ菌の数や活性を減らしたり、胃の粘膜を保護したりといった効果が期待できます。
ピロリ菌に対しては、陽性反応が出たら除菌を試み、また日頃の食生活にピロリ菌活性を抑制する効果のあるものを積極的に取り入れましょう。