相続では戸籍謄本と戸籍抄本のどちらが必要?違いや取得方法を解説!

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遺産相続

戸籍謄本と戸籍抄本の違いをチェック!

相続が発生した際は、戸籍謄本や戸籍抄本が必要です。

両者とも似たような名称ですが、大きな違いとしては、相続が発生した場合、被相続人の戸籍は戸籍謄本まで要求される一方で、相続人の戸籍は戸籍抄本で事足りる点です。

ここでは、戸籍謄本と戸籍抄本の違いについて解説します。

そもそも「戸籍」とは何でしょうか。
戸籍とは、国民一人ひとりの身分関係を登録し、公証するためのものです。戸籍に登録されている主な記載項目は、本籍地、筆頭者、氏名、生年月日、続柄、出生、死亡、婚姻、離婚、養子縁組、離縁、父・母または養親の氏名です。

現在の戸籍法(昭和23年~)では「一組の夫婦とその夫婦と氏を同じくする子ごと」に編製されています。一方、旧戸籍法(明治31年~昭和22年)では「一つの家ごと」に一つの戸籍が編製されていました。具体的には、戸主夫婦と子、戸主の父母や兄弟姉妹とその配偶者と子、叔父夫婦と子など、複数の夫婦と子等、その一族ごとに、一つの戸籍が編製されていたということです。

~ 戸籍の種類は3種類 ~

●現在戸籍 (げんざいこせき)
現在戸籍に在籍しているものがおり、使用されている戸籍のこと

●除籍 (じょせき) 
除籍には2つの意味があります。
①婚姻、養子縁組、転籍、死亡などにより、戸籍から除かれること
②婚姻、養子縁組、転籍、死亡などで最終的に戸籍の在籍者が誰もいなくなった戸籍のこと

●改製原戸籍 (かいせいげんこせき 又は かいせいはらこせき)
戸籍は、法律または命令によって新しい様式に編製されることがあり
編製後の、編製される前の戸籍を改製原戸籍という


戸籍謄本(こせきとうほん)とは、戸籍に記載されている全員の身分関係を証明するものです。(全部事項証明書)

戸籍抄本(こせきしょうほん)とは、戸籍に記載されている一部の人の身分関係を証明するものです(個人事項証明書)。どの情報を記載したいかは申請者自身が選択することができます。

つまり両者の違いは、戸籍謄本が戸籍に記載されている全員の身分関係を証明するものに対して、戸籍抄本は戸籍に記載されている一部の人の身分関係を証明するものだということです。

なお、従来は紙の帳簿で戸籍を管理していましたが、平成6年に行われた改正によって、コンピューターの電子データで管理する方法に変更となりました。

また、従来は縦書きだった様式が横書きになり、名称も戸籍謄本が「全部事項証明書」、戸籍抄本が「個人事項証明書」に変更となりました。

相続には戸籍謄本か戸籍抄本どちらが必要?

相続が発生した際には必ず戸籍を取得して相続人が誰なのかを確認しておく必要があります。なぜなら、相続財産の手続きをするためには、相続人が誰であるのかを確定させないと手続きができないためです。

相続に必要なのは戸籍謄本と戸籍抄本のどちらか?

では、誰かが亡くなり相続が発生した場合は、戸籍謄本と戸籍抄本のどちらが必要になるのでしょうか。

結論からいうと、相続人の確定に必要なのは戸籍謄本です。

なぜなら被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍謄本を確認することで、相続人を特定することができるためです。

被相続人しか記載されていない戸籍抄本では、相続人の知らない新たな相続人を確認することができません。

したがって、被相続人の戸籍を確認するためには戸籍謄本が必要なのです。

一方で、相続人の戸籍を確認する際は戸籍抄本でも問題はありません。

相続人の戸籍を確認する目的は、被相続人の死亡時に相続人が生きていたかを証明するためです。よって、その相続人だけが記載されている戸籍抄本でも証明が可能です。

しかし、戸籍抄本の場合は相続人の人数分の戸籍抄本を取得する必要があるのに対して、戸籍謄本の場合は1通に複数の相続人の情報が記載されています。

初めから戸籍謄本を準備しておけば相続手続きの事務負担軽減や、取得手数料を抑えることができるため、「戸籍抄本」で事足りるとはいえ「戸籍謄本」を取得することをおすすめします。

実務上、戸籍謄本が必要になるケース

上述の通り、相続が発生した場合、被相続人の相続人を確認するために戸籍謄本が必要です。

戸籍謄本を確認して、被相続人にどのような相続人がいるのかを把握するためです。



そのほか戸籍謄本が必要になるケースとしては、生前は遺言公正証書の作成時、相続後は預金通帳の名義変更、不動産の相続登記、保険金の請求をする場合等にも必要となります。

また、被相続人が自筆証書遺言書を遺して亡くなった場合は、家庭裁判所に遺言書を提出し、相続人全員の立会いのもと、遺言書の内容を確認する必要があります(「遺言書の検認」という)。この遺言書の検認の際にも戸籍謄本が必要です。(ただし、法務局保管制度を利用した自筆証書遺言書の「検認」は不要)

また、相続放棄(プラスの財産もマイナスの財産も一切相続しないこと)や限定承認(相続により取得する財産を、プラス財産の限度額として、債務の負担を引継ぐこと)を家庭裁判所へ申し立てる場合にも、戸籍謄本が必要です。

相続が発生した場合に必要になる戸籍謄本の部数は、ケースバイケースですが、少ない人で3~4通程度、多い人では10通以上が必要になることもあります。

相続で困らないために!戸籍謄本取得までの流れや相談先をご紹介!

相続が発生した場合には戸籍謄本が必要になることはご理解いただけたかと思います。

ここでは戸籍謄本を実際どのように取得すればよいかを解説します。

被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を取得するためには、まずは死亡の記載がある除籍謄本を取得します。

除籍謄本には、前の戸籍の情報が記載されているので、その情報を元に一つ一つ戸籍をさかのぼっていき、亡くなった方の「出生」の記載がある戸籍に辿り着くまで、その作業を繰り返します。

被相続人が本籍地を変更していなければ、一つの市区町村役場に請求すれば出生から死亡まで全ての戸籍が揃いますが、本籍地を変更している場合は、各市区町村役場ごとに、順を追って請求をしていかなければなりません。

戸籍謄本は、本籍地の市区町村役場で取得します。

なお、現住所ではなく本籍地の市区町村役場になるため、現住所と本籍地が異なる場合には注意が必要です。被相続人の本籍地がわからない場合は、本籍地記載の「住民票の除票」を取得すれば、住民票の除票上で、本籍地を知ることができます。

また、本人ではなく、代理人が取得することもできます。その場合、同じ戸籍の人が代理人である場合は委任状は不要ですが、それ以外の場合には委任状が必要です。

本籍地が遠方で行けない場合には、郵送手続きにより取得する方法もあります。

郵送手続きの場合は「戸籍に関する証明書の交付請求書」「本人確認の身分証明書のコピー」「切手を貼付した返信用封筒」「手数料相当の定額小為替」を合わせて送る必要があります。なお、代理人による郵送請求もできますが、その場合は、追加で「委任状」の送付が必要です。


また、マイナンバーカードを使うコンビニ交付サービスを利用する戸籍取得方法もありますが、対応していない市区町村役場やコンビニもあるため、事前の確認が必要です。


ご自身での戸籍収集ができない方は、弁護士・司法書士・行政書士などの士業に依頼する方法もあります。弁護士・司法書士・行政書士などの士業は、委任状なしで、職務上請求用紙を使い職権にて戸籍謄本を請求することができます。ただし、相続に関する業務を委任して交付請求する場合に限られます。

以上、相続が発生した場合に必要となる戸籍謄本を中心に解説しました。

戸籍謄本は普段の生活ではあまり触れる機会がありませんが、相続が発生した際には必要なため、スムーズに対応できるように知識を身につけておくと便利です。


お一人様の被相続人が亡くなり、相続人が兄弟姉妹になる場合は、父母・祖父母の生存を確認してからでないと戸籍謄本の取得ができず、相続手続きに必要なすべての戸籍謄本を取得するまでに数ヶ月もかかることがあります。

また、相続税申告が必要なケースでは、相続税申告の申告期限は(相続が発生した日の翌日から10ヶ月)となっているため、戸籍謄本を収集するためだけに、そう多くの時間をかけていられないというケースもあります。

相続が発生すると、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本は必ず必要になる書類です。相続が発生してから慌てなくてもよいように、親やご自身の相続手続きに必要な戸籍謄本を、生前に取得できる戸籍については、あらかじめ取得しておくことをおすすめします。

あらかじめ戸籍を取得しておくことで、相続後の手続きがスムーズになります。すでに使われていない戸籍類(除籍謄本、改製原戸籍)については、今後も記載情報は変わらないため、取得してから月日が経っても相続手続きに使う事ができます。(まれに金融機関で、発行から3カ月〜6カ月以内のものを要求される場合があります。)

相続手続きは、戸籍謄本を集めるだけでも大変な作業です。また、戸籍謄本は取得できたとしても、戸籍を読むことができなければ相続手続きが進まず意味がありません。相続手続きや、戸籍のことで困った時には、弁護士・司法書士・行政書士などの専門家に依頼することも検討してみましょう。

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