大規模修繕工事を行う際の仮設工事とは?

大規模修繕工事における仮設工事とは

仮設工事とは、メインとなる工事に必要なものを、準備するために行われる工事のことです。

マンションの大規模修繕工事におけるメイン工事とは、マンションそのものの補修工事を指します。

マンションの大規模修繕工事とは?定義や意味まで徹底解説!

一方、仮設工事は、大規模修繕工事を問題なく安全に行うために、足場や作業員の現場事務所、駐車場の誘導灯、資材置き場などを工事現場に準備することを意味します。

足場仮設工事と共通仮設工事

仮設工事という言葉は、足場工事のみを指す言葉として使われることが多く、足場以外の仮設工事については、足場工事と区別して「共通仮設工事」と呼ばれることがあります。

足場仮設工事の工事内容

・枠組み足場の仮設
または
・ゴンドラ足場の仮設

ならびに
・足場周りの安全対策(養生シートや落下防止ネット、足場まわりの防犯柵など)

共通仮設工事の工事内容

  • 工事現場内の作業員のトイレ
  • 作業員用の工事現場事務所(プレハブ設置、電気・水道の引き込みなど)
  • 資材置き場
  • 産業廃棄物の集積場
  • 安全対策設備(駐車場の誘導員や防犯センサーの設置など)
  • 工事内容を知らせる掲示板やホワイトボード

など

大規模修繕の仮設工事期間

大規模修繕工事では、何よりも先に、足場工事と共通仮設工事が行われます。

足場仮設工事の工事期間

約50世帯以下のマンションであれば、足場の仮設は、約1週間程度で完了します。

また、10階以上など階数が高いマンションの工事では、枠組み足場だと強風に煽られたり落下したりするリスクが高くなるためゴンドラ足場を用意することがあり、超高層マンションになると必ずゴンドラ足場が使われます。

タワーマンションの大規模修繕の足場ってどうするの?

屋上から吊るして使用するゴンドラ足場は、地上から部材を一から組み立てる必要がないため、ゴンドラの設置のみであれば約1日で完了し、足場解体工事も短縮が可能です。

なお、高さ10m以上の足場を組み、足場解体工事も含めて60日以上使用するときや、ゴンドラ足場を使用するときは、工事の30日前に必ず、労働基準監督署への届出を行わなければなりません。

この届出期間も含めると、足場を設置するまでに1カ月以上の期間が必要になります。

共通仮設工事の工事期間

大規模修繕工事に係る作業員のトイレや現場事務所、安全対策設備の設置などは、おおむね2日もあれば完了します。

大規模修繕の仮設工事で注意すべきこと

共通仮設工事も足場仮設工事も、大規模修繕工事でトラブルが起こりやすい工事内容です。

大規模修繕でよくあるトラブルとは?

また、管理会社に、施工業者選びや大規模修繕工事の計画を任せきりにしてしまうと、思わぬ所からトラブルが発生するリスクが高くなります。

工事会社や近隣住民と重大なトラブルを起こさないよう、管理会社任せにせず、双方に対し、管理組合側から積極的に働きかけなくてはなりません。

共通仮設をどこまで準備してもらうか

共通仮設工事の内容は、施工会社によって異なりますので、管理会社が選んだ施工会社におまかせせず、契約前に、施工会社と管理組合で、工事内容を打ち合わせておくことをおすすめします。

例えば、作業員の喫煙所を設けるか・設けないか、設けるのであれば分煙対策はどうするのか、現場での喫煙を禁止しているかなどは、施工会社の社風によって様々です。

居住者と施工会社で喫煙トラブルを起こさないためにも、管理組合のほうで、施工会社の喫煙ルールは確認しておいた方がよいでしょう。

そのほか、作業員の現場事務所を本格的に設ける場合は、事務所内で使用する電気や水道の使用料がかかり、詰め所のこれらの費用は管理組合が負担しなくてはなりません。

また、作業員の現場事務所の規模は、施工会社やマンションの規模によって変動し、規模に応じて設置費用も光熱費も異なりますので、できるだけ契約前にこれらの費用も把握しておきましょう。

悪質!管理会社が提出する各工事会社の相見積もり資料は注意が必要!

最近では管理会社が複数社に見積もり依頼をして、A社,B社,C社,D社というような形で横並びで見積もり金額を資料として出してくることがあります。

しかし、実際に全ての会社に見積もり依頼をしているかは不明瞭であり、一番安い見積もり金額の会社は管理会社と繋がっていることがほとんどで、その会社に誘導するための資料となっています。

誠に残念ですが、管理会社はこのように不誠実なことを平気で行うので工事会社の選定は必ず、管理組合が直接工事会社に問い合わせをし、見積もりをお願いしてください。専門家による現地調査・見積もりの提出は、ほとんどの工事会社が無料で行ってくれます。

ご自身のマンションの地域に対応している評判の良い工事会社を無料で紹介することも可能ですので、お気軽に下記お問い合わせフォームよりご相談くださいませ。

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隣地との境界を超えて足場を建てても良い

マンションの周囲に十分な空きスペースがなければ、足場を組み立てることができません。

このような状態になったときは、マンションの隣の敷地所有者に、足場を設置するための土地の使用許可を得る必要があります。

民法209条では、大規模修繕工事などの建築工事に必要な足場であれば、隣地の所有者に対して、足場を設置のための土地使用許可を請求して良いことになっています。

これを「隣地使用請求権」と呼び、万が一、もし隣地の所有者に土地の使用を拒否された場合は、民法の定めに基づき、管理組合は、隣地所有者に対して裁判を起こすことができます。

ただし、民法上で定められているのは、あくまで「請求できる権利」であって、「強制的に足場を設置してよい」という意味ではありませんので、ご注意ください。

裁判になる前に隣地所有者の説得を進めよう

足場を設置するために裁判が必要となれば、大規模修繕工事に長期間着手できなくなり、裁判費用のために修繕積立金を余分に取り崩さなければならず、現実的ではありません。

理事会と居住者の承認を得たあとに、このようなトラブルに巻き込まれないように、隣地の使用許可は、工事前に誠意をもって、交渉を開始しておきましょう。